漢字

September 03, 2010

あ〜あ〜、川の流れのように…

林子平林子平(1738 - 1793)はその著:「海国兵談」で、「江戸の日本橋より唐・オランダまで境なしの水路なり」と記して、海防・海軍力強化の急務を訴えますが、人心を惑わす、を理由に発禁処分となります。幕末攘夷思想に大きな影響を与え、NHK『龍馬伝』で描かれている坂本龍馬の『海援隊』、その遺志を引き継ぎ海運業を、明治に入り三菱財閥を興したのが岩崎弥太郎でした。

幕末から明治にかけて、西欧の文物・概念を翻訳する必要に迫られ、漢語によって翻訳した和製漢語が多く作られました。福澤諭吉が「自由」、「経済」、「演説」、「共和」、西周が「科学」、「技術」、「芸術」、「哲学」等の漢語を作ったそうです。深い漢語の教養があるからこそ出来たのでしょうが、「亜米利加合衆国、United States of America」とは誰が作ったのでしょうね。「亜米利加」は単に音をあてただけ、「合衆国」には「そのはずだ」という訳者の気持ちは伝わるものの、言われるように「合州国」の方がより適切に思えます。

日清・日露戦争を見て近代化を推し進める中国、多くの留学生が日本に学び、彼らは多くの和製漢語を中国に持ち帰ることになります。そのうちの一人、孫文(1866 -1925)は「辛亥革命(1911)」で清朝を倒し、「中華民国」建国を宣言します。彼の死後は蒋介石に引き継がれ、率いる国民党と共産党との内戦状態から対日政策では国共合作へ、日本の敗色が決定的になると再び内戦、結果、1949年、国民党は破れて台湾に逃れ、毛沢東率いる共産党が「中華人民共和国」を成立させます。

明治期の和製漢語があってこそ西欧の思想が中国に広がり近代革命が成されたわけで、最終的に勝利した「共産主義」、それに基づく国家が「人民」、「共和制」という和製漢語があってこそ実現したというのは興味深いことです。※和製漢語の詳細な研究がされています。→ 『哲学字彙の和製漢語』

大菩薩峠『峠』、いつ頃出来た和製漢字(この場合は漢字)かは知りませんが、近世以前からあったのでしょう。何故か時代劇の一場面を思い浮かべる、旅情をそそる、ロマンのある言葉で、『大菩薩峠』が極めつけでしょう。

もう一つ同じようにロマンを感じる和製漢語があります。『分水嶺』、『峠』に比べると断然モダンな響き、当然のことながら明治期、地学・地理学を学ぶ上で造語されたのでしょう。英語でdivide、dividing mountains、dividing ridge、dividing range の文字通りの訳語です。

日本には「中央分水嶺」があり日本を太平洋側と日本海側とを分けるもので、峰(…とは限りませんが)のこちら側に落ちた雨は太平洋(あるいは瀬戸内海)に注ぎ、向こう側に落ちた雨は日本海に注ぐ。僅かな差で太平洋と日本海に、全く違った旅路を辿ることになります。どこか人生に重なるところがあるようで…、思わず口ずさんでしまいます。
『あ〜あ〜、川の流れのように…』

Rhine Danube map












アルプス(スイス)に端を発し、フランス、ドイツを抜けオランダで北海に注ぐライン川、ユリウス・カエサル(BC102 - BC44) はガリア遠征(BC58 - BC51)を行い、ライン川以南/以西をローマ帝国の属州とします。以降、これに、ドイツ南部森林地帯を源泉に、東欧を東に横切って黒海に注ぐドナウ川を加え、帝国のリム(=防衛線)と定めます。同じくアルプスに端を発し北イタリアを横断してアドリア海に注ぐポー川(Po)、フランスを抜け大西洋に注ぐロワール川(Loire)と、西ヨーロッパの分水嶺、アルプスから発してそれぞれの海に注ぎ、流域の文化・歴史を育んできた母なる大河です。

鶴見川源泉3歩いては…ちょっと遠いですが、近くに「鶴見川源流」があります。…といっても、この夏の晴天続き、淀んで、清らかな流れは見られません。ここはれっきとした東京都、私の住む町田市と多摩市との境に横たわる多摩丘陵に在ります。始めて訪れたときは、「どんな山の中だろう…」とおっかなびっくりでしたが、何のことはない、両市の境故か、どちらの市からもその行政から取り残されただけの、今となっては貴重な昭和の里山の風情です。鶴見川は此処を源泉に、横浜市で東京湾に注ぎます。ライン、ドナウには遠く及びませんが、想像力だけは世界に、そして歴史につながります。

The Great Divideとはロッキー山脈の意味。The Bandの曲に『Across The Great Divide』があります。時代劇風に言えば、『峠を越えて』でしょうか…。そのメンバーの一人、リヴォン・ヘルム(Levon Helm)、昔からしぶい声ですが、ウ〜、その声以上におじいさんになりました。


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June 12, 2010

漢字、 ひらがな、 カタカナ、ローマ字

「ひらがな」は漢字の全体をくずして、「カタカナ」は漢字の一部を借用した日本語の一音節の表記方法、とはモノ知りの友人の言。
7世紀頃には成立、以降、日本語表記には欠かせない便利な文字ですが、芸術性はともかく、本来、文字が持つべき「記号」という意味では明瞭さに欠くように思えるのは、単に私の字がヘタだからですかね。

先日、ニュースでタイでの反政府運動の様子South East Asiaを見ていると、デモのとばっちりを受けたレストラン内部の映像、メニューなのか、お奨め料理なのかは不明ですが、その壁にはローマ字表記で掲示されています。タイにはタイ文字があり、他の東南アジア諸国がヨーロッパの植民地化される中で、日本と同じく、独立を保持したその歴史を考えると不思議に思えます。

そう言えば、近隣諸国のインドネシア語、マレーシア語、カンボジア語、ベトナム語、あるいはフィリピンのタガログ語はローマ字(ラテン文字)で表記されています。外国人の私がインドネシアを訪れた時はこのローマ字表記のお陰でずいぶん救われた記憶があります。(似たような話→『「朝三暮四」、私も知りませんでした』

日本でも戦後まもなく、日本語のローマ字表記を唱えた言語学者がいたようですが実現しませんでした。「日本文化の破壊だ!とんでもない!」ということだったのでしょう。「書道ガールズ」、「漢字検定」の日本人にとって漢字は、カタカナ・ひらがなはもちろん。文化の一部、というより文化・歴史そのものと信じて疑いません。果たしてそうなのでしょうか。

戦艦ポチョムキン映画の古典:「戦艦ポチョムキン」を作ったエイゼンシュタインは漢字の成り立ちにヒントを得て彼の映画理論:「モンタージュ論」に至りました。漢字は単なる記号ではなく、意味のある絵画的な文字です。

それでは、漢字を使う中国人・日本人にどのような、「漢字ならではの」文化的(思想・芸術領域において)特徴があるのか、また、長い間中国歴代王朝の冊封体制下に在りながら漢字を排除した(?)朝鮮半島(ハングル文字)やベトナム(ローマ字)の文化が非漢字化が要因でどのように変化したのか?、その差異は?…。漢字の果たした大きな役割があると思うのですが、日本人にとって漢字は空気や水のようなもので、あって当たり前、考えるまでもない事なのか、どうも納得いく説明を聞いたことがありません。今年の漢字

漢字が苦手な人間の極論でしょうが、ひょっとしたら…、表記文字など文化とは全く関係のないところで使われているのかも知れません。東南アジア諸国が植民地時代の旧宗主国の言語表記を踏襲しても、表記方法そのものは文化にはあまり影響を与えなかったのではないでしょうか。

ローマ帝国の国語はラテン語、その表記は文字通りローマ字(ラテン文字)、帝国の拡大とともにヨーロッパ各地に広がり、特に、キリスト教の国教化(313年)はこれを加速、ゲルマン人の侵入により帝国は崩壊(467年)、中世に入りますが、ヨーロッパ各地に興ったゲルマン諸王国は、言ってみれば、侵入してきた蛮族、より高度な文明を持つ先住民族(旧ローマ帝国市民)を支配・統治して行かなければならず、そこで利用したのがキリスト教(ローマ教皇)でした。ゲルマン人王は自らキリスト教に改宗、ゲルマン人王はローマ教皇の権威を認め、その権威に基づき、ゲルマン王の支配・統治に正当性を与え、その見返りに、ローマ教皇は経済的・軍事的な保護を得、ヨーロッパ全土に宣教活動をローマ帝国領 トルコの位置行います。ローマ教皇を頂点として辺境の末端に至るまでキリスト教聖職者の言語はラテン語であり、これは現代のローマ教皇制度内にも受け継がれているそうです。

ヨーロッパ諸国言語のローマ字(ラテン文字)表記はローマ帝国及びキリスト教(ローマ教皇)勢力の拡大よるものでしょうが、個々の文化に影響を与えたのはローマ字(ラテン文字)表記ではなく、宗教=キリスト教(ローマ教皇)でしょう。逆に、今日我々が見るヨーロッパの諸国の近似性・同一性はキリスト教(ローマ教皇)に由来するものです。現に、アラビア文字からローマ字(ラテン文字)表記に変えたトルコはEU加盟を果たしていません。イスラム教国だから、というのがその理由です(東端にせよ、ローマ帝国領土内にあったのですが…)。▲上図参照

「ワープロを使い始めてから、どうも…」と、言い訳の多い人間の単なる思いつきを書いてみました。

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express01 at 14:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

March 09, 2010

「朝三暮四」、私も知りませんでした

香港人(中国人)の友人が我が家を尋ねてきたことがあります。宿泊先の都内のホテルから地下鉄を乗り継ぎ新宿へ、切符を買って小田急(急行)に乗り換えなければなりません。最寄り駅である町田駅まで迎えに行きました。さすがに、駅からのバスには乗れないでしょうから…。

町田 駅名標見知らぬ外国で鉄道を乗り継いで移動することは不安だと思うのですが、少なくとも私にはそうです。彼女曰く、「日本では駅始めあらゆる所に漢字及び英語の表記があり問題ない」と言います。九州の路線にはかなり以前よりあるそうですが、小田急の駅名は日本語・英語に加え中国語(簡易型)・ハングル語の4カ国語で表示されているようです。日本語表示があっても、券売機でうろたえ、次に改札口でどぎまぎすることもある私が心配するのは当然でしょう。

そんな彼女が韓国のソウルを訪問したときは困ったそうです。「全てハングル語で、漢字・英語での表記がない」とのこと。私も香港に行ったときは英語の表記があってほとんど問題なく、例え漢字の表記だとしても、その意味からある程度の内容を類推することが出来ます。まだ訪問したことはありませんが、韓国では全くのお手上げでしょう。

後日、韓国人の友人にこのことを聞いてみると、「歴史的・地理的にに中国との関係が近すぎて、その反発のためか、漢字表記が少ないのでは…」、と聞いたことがあります。

ハングルは15世紀、李氏朝鮮の時代に導入されたが、当初、漢文・漢字の教養を有する保守・支配層からは「未開人のなすこと」と猛烈な反発を受け、主に民衆の書記手段として用いられたそうです。一挙に時代は下って、現在、『自分の名前すら漢字で書けない韓国の大学生』とは『朝鮮日報』の社説です。残念ながら購読料を払っていないのでその内容は読むことができませんが…。

日本においても、漢文・漢詩は明治に至るまで支配層の教養の一つでした。漢字ばかりの文章はどうも堅苦しく役所言葉のようで、時に「男性的な」(は私見ですが…)悲壮感さえ感じられます。かといって、ひらがなばかりでは読みにくく、「なよなよした、女性的な」ものになるでしょう。視覚的にその意味を直感できる漢字と音を表すカタカナ・ひらがなの組合せの日本語表記方法は便利なものです。

どこかの国の前首相は漢字を間違って読んだことが支持率低下の原因の一つだったようです。

朝三暮四」の意味を聞かれた現首相と同じく、「朝令暮改」しか知らない、その四文字熟語の存在さえ知らなかった能力レベルの私、漢字を読めたとしても書けない文字が多くなりました。ワープロの利用をその理由にするのですが、手書きのメモには本来、漢字で書くべき単語にカタカナ・ひらがなが目立ちます。このまま症状が進めば、カタカナ・ひらがなばかりになって、メモを読むのも一苦労、ということになりかねません。

中国人が漢字を書くのは当然でしょうが、東アジアに位置する日本・韓国にとっても漢字は重要な文字のはずです。

得意ではないので、知らぬふりをして過ごしておりましたが…、あの不祥事が発覚した「漢字検定」ブームはその後どうなったのでしょうかね。

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express01 at 21:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
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映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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