活版印刷技術

March 09, 2012

バラッド Ballad

アメリカ音楽の起源を辿ろうと始めたのですが、その一つが、中世、イギリス諸島(=ブリテン島及びアイルランド島)のバラッド(=Ballad)に行き着きます。それも、イングランドのロビン・フッドの伝説に突き当たってしまい、前回の『歴史の分岐点』に脱線してしまいました。中世の吟遊詩人(=Minstrels)は封建領主の雇われ、主人のために、楽曲を奏で、歌い、物語などをしてきましたが、これが『バラッド』で、定型詩の形で歌い継がれた架空の物語でした。当時喜ばれた演目の一つがロビン・フッドの伝説で、当初は武勇伝だけでしたが次第に英雄・恋愛・ロマンものに広がって行きました。

しかし、1455年のグーテンベルグに依る活版印刷技術の発明は、宗教・言語・科学・政治・文化…と、あらゆる分野に革命的変化をもたらします。今まで吟遊詩人(=Minstrels)によって口頭で歌い継がれてきた『バラッド』が印刷物に替わり、圧倒的な速さと正確さで多くの人に伝搬するするようになりました。言葉を換えれば、吟遊詩人(=Minstrels)の衰退です。16世紀のイングランド、このような印刷物はブロードサイド(=Broadside)と呼ばれ、恋愛、宗教、飲酒、伝説、災害、政治、セックスなどを題材ににした歌謡・物語がブロードサイド・バラッド(=Broadside Ballad)で、主に街頭や市場に立つ呼び売り人(=chapman)に依って売られていました。

The New Christy Minstrels因みに…、昔、60年代のフォーク・ブームの時代、『Green, Green』というヒット曲で有名な、ニュー・クリスティ・ミンストレルズ(The New Christy Minstrels)というグループがありましたが、Minstrelsとはこれなんですね。ついでに…、このグループを独立して『明日なき世界 Eve Of Destruction』をヒットさせるのがバリー・マクガイア(Barry McGuire)です。好きでした。Barry McGuire

同じく…、当時の日本、ザ・ブロードサイド・フォーとかいうバンドがありましたが、この『ブロードサイド』がそれですか?私はMinstrels も Broadside も知りませんでした…。

元へ…。エリザベス1世(在位1558-1603)の時代植民地主義で先行していたポルトガル、スペイン、オランダを次第に駆逐、英国は奴隷貿易で莫大な富を得ます。その奴隷貿易によりアフリカの音楽:ブルース(=Blues)の萌芽(?)がアメリカにもたらされますが、16世紀後半になると英国の北アメリカ大陸への植民と共に入ったブロードサイド・バラッドがこれに少なからぬ影響を与え、後にブルース(=Blues)に育っていきます。
当時英国は、アイルランドがスペインと手を結び、どちらもカソリック、侵略して来るものと恐怖していました。エリザベス1世は非情な強硬手段を取り、結果、アルスター地方(現在の北アイルランド)は焦土と化し、厳しい冬を前に恐ろしい飢餓が始まり、破れた反乱軍のほとんどはヨーロッパ大陸(フランス)へと逃れます。その人口減少を埋めるように、スコットランドからは農業技術に長けたプロテスタントが、宗教的迫害や不作を理由にアルスター地方(北アイルランド)に移住、後の『アイルランド紛争』の原因となります。彼等はスコッツ・アイリッシュ(Scots-Irish)と呼ばれ、18世紀、宗教的迫害やアイルランドを襲った飢饉は、彼等をアメリカ大陸への移住に駆り立てることになります。

彼等はアパラチア山脈周辺に居住します。そうです、Almost heaven, West Virginia  Blue Ridge Mountains, Shenandoah River  ♪…と歌われる地域です。この地は、英国人の最初の入植地:ジェームス・タウン(James Town)もあり、アフリカから連れてこられた黒人奴隷が最初に住み着いた土地でもありました。こうして、二つの文化の化学反応が始まりました。

スティーブ・アール(Steve Earle)の曲:『The Mountain』、ここではレボン・ヘルム(Levon Helm)が歌います。これもバラッド、気に入っています。


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express01 at 19:32|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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