怒りの葡萄

December 09, 2017

最近聞いたこの曲<15> "You're Not in Kansas Anymore"

grapes of wrath 『怒りの葡萄(The Grapes of Wrath 1939)』はJ・スタインベック(モンタレー郡サリナスに生まれる)の作、大恐慌の時代、大干ばつで土地を奪われたオクラホマを捨て、ルート66を西へ、カリフォルニアを目指す農民の物語ですが、1940年、ヘンリー・フォンダ主演で映画化され2つのオスカーを獲得して彼の名声を不動のものにします。

   映画『怒りの葡萄』から30年後、ヘンリー・フォンダの息 子、ピーター・easy riderフォンダは、父親とは逆に、同じルート66を東へ、ニューオーリンズのマルディグラ(謝肉祭)に向けて走ります。映画『イージー・ライダー(Easy Rider 1969)』は、ベトナム戦争への懐疑的傾向を社会的背景にした「アメリカン・ニュー・シネマ」の傑作の一つに数えられています。挿入歌が全てロック・ミュージックだったことも衝撃的でした。

 ベトナム戦争も終盤の時代,60〜70年代、にはロック・ミュージックが興隆します。プレスリー、ビートルズ、ビーチボーイズが現れたのもこの時代です。ジョニー・ミッチェル『California』を歌ったように、グラム・パースン、ママス&パパス、リンダ・ロンスタート、ジム・モリソン、ニール・ヤング、デビッド・クロスビー、スティーブン・スティルス、グラハム・ナッシュ、ジャクソン・ブラウンがその後の成功を獲得する以前に住んだロサンゼルス、ローレル・キャニオン(Raurel Canyon)は東のウッドストック(Woodstock)と並んで若いミュージシャンが多く集まり住んだ場所でした。ヒッピー対抗文化の音楽コミューン的性格を持つ場所でした。

 時代の終焉では…、ヒッピィー対抗文化の体験から抜け出せない人間を歌った(?)『ホテル・カリフォルニア Hotel California(1976)』、イーグルズ自らもこの枠を抜け出すことが出来ないままに終わってしまいました。ホテル・カリフォルニアとはこの対抗文化の音楽コミューン、ローレル・キャニオン(Raurel Canyon)のことかも知れません。
 
 ビーチボーイズに始まる私のカリフォルニアへの思い入れは『ホテル・カリフォルニア』以降も何ら代わることがありません。ストリーム・ラジオをリッピングしているのですが、私が好きになる曲はカリフォルニアに対するあこがれ、カリフォルニアを好意的に歌う傾向にあり、リトル・テキサス(Little Texas)の『Amy's Back In Austin』如きは歌詞の内容だけでなく、メロディラインもウエスト・コースト風に仕上がっています。最近は聞いたビッグ&リッチの(Big and Rich)の『California』はカントリーなのですが<<ど>>カントリーではなくなりました。

 今回、ご紹介するのもそんな曲の一つ、ジョージ・ディ・メッシーナ( Jo Dee Messina 1970年生まれ)の「You're Not in Kansas Anymore(1996)』です。

oz このタイトル〜もうここはカンザスじゃないわ〜は、初めての所にやって来てカルチャーショックを受ける、の意味です。映画『オズの魔法使い(1939)』の中の台詞、「Toto, I've a feeling we're not in Kansas anymore.(トト、ここはカンザスじゃないみたいよ)」に由 来、「There's no place like home.(お家が一番だわ)」と併せてアメリカ人の慣用句となっているそうです。先日、知り合いのカナダ人とイギリス人の二人に聞いてみると、アメリカ人だけでなく、英語を母国語とする人はこの慣用句を知っていると云います。※因みに、最近では、『ホテル・カリフォルニア』の「You can check out any time you like, But you can never leave!」も慣用句になっているようです。
  

You're Not in Kansas Anymore
メイベリーのようなウイチタに在る小さな街で育った、と彼は言う
上下つなぎの作業服を着て、日が沈むまで干し草を引っ張るのはうんざり
一日中、ジョン・ディアのトラクターに乗り土地を耕しているのでLAに憧れる、と言う
南カリフォルニアには高速鉄道が走っているよ、と教えて上げた

[Chorus]
もうここはカンザスじゃないわ
用心し過ぎることはないのは確か
街の灯があなたを誘い
朝が来ると消えてしまう
だから、壁に私の電話番号を控えておいて
何時でもいいから電話してきて
今、私は幸せ
もうここはカンザスじゃないわ

「カーソンがどこに住んで居るか知ってる?」それでマリブまでドライブしたの
サンセット通りを走り、キスの1回や2回は許してあげたの
ハリウッドの標識の下、にんまりしたのを気付かれないように、私は低くささやいた
ロデオじゃなく、ここはロデオ・ドライブ、こんなこと云うのは始めて

[Chorus]


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express01 at 13:40|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

July 16, 2007

オクラホマ・ミキサー

ある年齢以上の人にはほろ苦い話ですが、体育の授業でフォークダンスを最初に踊ったのが「オクラホマ・ミキサー」ではなかったでしょうか。これが地名:「オクラホマ」との最初の出会いであった気がします。その頃、テレビではアメリカ番組の全盛期、そのヒットの一つが「ルート66 Route 66」。そのテーマ:(Get Your Kicks) On Route 66には、…Joplin, Missouriの次、Amarillo、…の前にOklahoma Cityが歌われています。

「オクラホマ」のイメージは、「保守的で、西部劇そのままの田舎」、といったところではなかったでしょうか。「西部劇そのまま…」は
ともかく、後に聞いたマール・ハガードの1969年のヒット曲:「Okie From Muskogee」では愛国的、保守的、素朴な、古き良きアメリカを愛するオクラホマ人が歌われています。そのオフィシャルサイト:Okie From Muskogeeをご覧(ページ下部の歌詞を読みながらお聞き)下さい。…、それにしても、「In Muskogee, Oklahoma, USA」のエンディングは少々大仰です。

彼の本心でしょうか、それとも大袈裟な皮肉なのでしょうか?後にインタビューに応えて、この曲に歌われたオクラホマ人に共感を覚える主旨の発言をしています。この曲を同時代のビーチボーイズが歌っているところが大いなるパロディです。→ The Beach Boys - "Okie from Muskogee" at Central Park 1971

ベトナム戦争の時代、アメリカには厭戦気分が充満、特にサンフランシスコを中心にヒッピームーブメントが勃興します。この曲でも歌われる、まさに「花のサンフランシスコ」の時代でした。この、ある種退廃的なカウンターカルチャーに対しての保守層からのカウンターの一つがマール・ハガードの「Okie From Muskogee」だったのでしょう。

彼はカリフォルニア州ベーカーズフィールドに生まれますが、9歳の時に父親が死去、家庭環境が悪く不良に育ちます。カントリー歌手として知られるようになっても、窃盗の罪でサンクエンティン刑務所に服役した経験の持ち主です。

The Grapes of Wrath彼の両親はオクラホマからの移住者でした。1930年代、ダストボール(砂嵐)が南西部を襲い、追い打ちをかけるように大恐慌がこれら諸州の農民に壊滅的打撃を与えます。農地を捨て、ルート66を西に、カリフォルニアに移住してきたこれらの人々を、彼らの車のナンバープレート:「OK」から、カリフォルニア人は軽蔑を込めて(?)「オーキー」と呼んだのが始まりのようです。1940年ピューリッツァー賞を受賞したスタインベックの「怒りの葡萄」、映画監督:ジョン・フォードがヘンリー・フォンダを主演に、彼らを描いています。辛酸をなめた両親、そしてそれ故の本人の生い立ち。この歌は彼の本音なのでしょう。

easy-ride「Okie From Muskogee」ヒットと同じ年、1969年、カウンターカルチャー、アメリカン・ニューシネマの最高傑作:「イージー・ライダー Easy Rider」が公開されます。ピーター・フォンダ(:ワイアット)とデニス・ホッパー(:ビリー)は、ルート66を東に、バイクを走らせます。

「髪の毛が長い、よそ者」、それだけ(?)の理由でショットガンで撃ち殺されるラストシーン。場面は確か、「オクラ
ホマ」でした。



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