天然理心流

July 28, 2014

新撰組

 幕末、1864年7月8日、夜半、中に潜伏しているであろう二十数名の尊攘派を急襲したのは近藤勇以下、わずか4名、襲撃を受けた志士達は応戦しつつ、現場からの脱出を図ったが、裏口を固める4人に切り伏せられます。圧倒的に劣勢な状況下に土方歳三隊が到着、激闘の末、逆転勝利したこの「池田屋事件」は京都守護職配下の新撰組の名を天下に轟かせることになりました。戦闘がほぼ終了し始めた頃、遅ればせながら応援にやって来た桑名・会津兵の前に土方歳三はまだ血の滴り落ちる白刃を持って立ちはだかり、一歩たりとも彼等を中に入れなかったそうです。彼はこの功績を新撰組で独占し、卓越した戦闘能力を誇示することができましたが、了見の狭さが感じられ、まるで三下ヤクザの喧嘩、そこには品格というものが感じられません。

前身である「壬生浪士組」の結成から1年、これが新撰組の絶頂期でしたが、4年後の「鳥羽・伏見の戦(1868)」に破れ、幕府の軍艦で江戸へ撤退します。その在京の5年間での新選組内部における死者は約50名、その内倒幕志士との戦闘による死者数はわずか6名、ほとんどが相互不信による内部抗争、「士道不覚悟」という理由にならない理由による粛清の結果でした。

 近藤勇 (1834〜1868)、土方歳三(1835〜1869)ともに武蔵国多摩郡の生まれ、多摩郡のほとんどが天領(幕府直轄領)で代官支配となり、お上の目が届きにくく、治安の悪化につながった。宿々には博徒が横行、農民は自己防衛の為に、村々では剣術を学んだ。この現象は武州三多摩郡と上州(上野国 今の群馬県)以外にはその例がないという。武田家遺臣の千人頭を中心に、多摩郡の有力農民や浪人を同心に組み入れた郷士の集団が「八王子千人同心」と呼ばれ、江戸防衛や甲州口の警備や治安維持にあたったが、その千人同心の中から生まれたのが「天然理心流」であり、その四代目を襲名したのが近藤でした。

近藤勇
二人の出自は明らかに農民であり、少なくとも何れの藩にも属したことがなく、先祖が遠く源平の時代の「坂東武士」だったかどうかは不明ですが、理想は「坂東の古武士」でした。3百年間、怠惰な生活を世襲してきた幕臣・藩士とは大いに違います。以前にも紹介しましたが、二人は現実の「武士」以上に武士たろうとし、「士道不覚悟」という理由で切腹を命じたのです。当時の武士階級のものなら到底思いつきもしない陰険な手段を用いている。美意識は武士だが、そのやり方は武士ではない。先祖伝来、地頭に支配されて来た階級の出身者のみに特有なもので、ロシア革命における貴族出身、労働者出身革命家の違いと似ている、とは司馬遼太郎の言。私も同感です。

 唐突ですが、私の住む町田市の位置を天気予報の地図上に探し出すことが出来ますか?東京都の西南部と神奈川県と隣接する、盲腸のように神奈川県側に垂れ下がった部分が町田市です。新宿から小田急に乗って西へ、多摩川を渡ると神奈川県川崎市、さらに西へ行くと再び東京都町田市、それを過ぎると本格的な神奈川県です。これに八王子〜横浜を結ぶJR横浜線が交わった町田駅周辺が町田市の中心地です。これはあくまでも近代、鉄道の存在しなかった、遠くは源平の時代から、「小野路宿」が鎌倉街道、後には大山街道の宿場として栄えました。

どくろ稽古着幕末の「小野路宿」、小島家第20代当主:小島為政、通称:鹿之助は小野路村寄場名主、云わば治安警察署長、地域の治安維持のためには剣術が必須で、「天然理心流」近藤の門下生となっただけでなく、自宅に剣道道場を持ち、有力なスポンサーでもあり、為政と近藤は義兄弟の契を交わした仲だそうです。近藤が出稽古に来た時に着用したという背にどくろの刺繍の入った稽古着が伝わり、彼の名代として、土方歳三と沖田総司が出稽古にやって来ました。当時多摩郡きっての蔵書家で、剣道場と併せて、多摩郡の文化の中心地の役割を果たし、小島家の近藤に与えた思想的、学問的影響は計り知れないものがありました、とはその著『小野路の宿と小島家』、小島政孝の言。

 「住めば都」の私で、何とか小島さんのように身びいきで新撰組の肩を持ちたいのですが…、どうも彼等の陰険・姑息さは好きにはなれません。近藤勇に与えた思想的、学問的影響…、はて?、それがどのようなものかお聞きしたいですね。

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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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