伊能忠敬

December 03, 2015

隠居の道楽

 ブログのジャンルを「洋楽」としながら、一年を振り返ってみると、洋楽(=音楽)ネタはわずか3件、うち我々前期高齢者バンドの演奏をお聞かせできたのは、一人が抜けたままでどうも喪失感のぬぐいきれない「Woodstock, Back To The Garden」だけでした。

 メンバーの一人、Nobuさん(guitar、pedal steel)は仕事をしなくても好きな音楽活動三昧、もう一人のKunさん(drum)は現役にて仕事が楽しいらしく、遊んでいるわけにはいかない私からすればうらやましいお二人です。現役のKunさんに合わせて週末に練習するのですが、私が管理組合の仕事をするようになり、今年に入ってNobuさんがペダル・スチールで参加しているもう一つのバンドが演奏料をもらうようになりそのカントリーバンドの練習・公演を優先せざるを得なくなり、3人の日程の調整が難しくなりました。日程の調整が出来ず月一回の練習になると、張り合いも気も失せてしまいます。

伊能忠敬 江戸時代(元禄・化政)は町人の時代、「現役」の次にある「老い」という新しい人生を楽しむために「隠居」という「道」に入り「道楽」に没頭しました。それぞれ若くして家業を譲り、西鶴は俳諧・芝居(脚本)の世界に、広重・若冲は浮世絵・絵画に、伊能忠敬は天文・地図作りの世界に、 見方によっては、芭蕉も日本橋の平穏な暮らしを捨て、深川での隠遁・俳諧の世界に入りました。そこには今日で言う「老後」、老いた後の死ぬまでの間、という後ろ向きの意味は全くありません。

 その他多くの貧者達は、好むと好まざるにかかわらず生涯現役で在り続けなければなりません。老いるにつれて正月・節句・花見・お盆・月見など地域・村落社会の祭祀を執り行う「長老衆」という役回りを得ることは名誉であり、住民の尊敬を得ました。私の管理組合副理事長職もこれに当たるのでしょうかね…、ただ順番が巡って来ただけで、名誉でも尊敬でもなく、だれも好んではやりません。柳田国男の言う日本人の「ハレ」と「ケ」の世界観、日常生活を営むためのエネルギー:「ケ=気(生命力)」が枯れる、すなわち「ケガレ=気枯れ」は「ハレ=晴れ」の祭事・催事を通して回復するとされるといいます。

 話がわき道にそれますが、「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」を著したホイジンガの説では、「遊び」の本質は「面白さ」、「面白さ」はそれ以上分解のできない根源的なものである。必要・不要の利害関係から離れ、善悪や美徳・背徳の価値の外にあり、非日常的な時間・空間にある。文化の中に遊びが含まれるのではない。遊びの中から文化が生まれ、文化は遊びのなかにある、という。「遊び」という言葉には、一般的に広く使われる本来の意味に加え、娯楽、時間つぶし、気晴らし、リラックス、見物、浪費、賭け事、怠惰、無職、の意味に加え、劇を演ずる、楽器の演奏する、歌を歌う意味を持つが、これは西欧言語に酷似し、例えば英語の「play」は演劇・演奏に限らずスポーツにも及び、日本語の「遊び」は工学上の「ゆとり」、遊学、外遊、漫遊など、本来ならば対立する「まじめ」な言葉にも用いられて興味深いところです。「遊び」は最高の「ハレ」ということが言えるのでしょうか。

 都市・町人に富が蓄積され、かつては一握りの貴族・富裕層が独占していた「教養」が「読み書き算盤」と出版の発展とともに一般化する「教養」大衆消費社会でした。勤勉と禁欲を持って奢侈への誘惑に耐え、自らの欲望を自ら律して家業に励む、西洋資本主義揺籃期のピューリタン精神と倫理観に酷似した倫理観を持つ町人社会が成立しました。つつましく(浪費を押さえ)、知恵を絞り、努力し、分別をわきまえ…、加えて、もし幸運に恵まれれば成功するが、好事魔多し…で、遊里・芝居・遊芸(趣味)の誘惑に負けてしまうのです。遊里・芝居は別の機会に譲るとして、遊芸は学問・芸術・文学・科学・技術・剣術…と極めて広範囲に渡り、社交・より良き人付き合いのための手段なのですが、深入りするとそれ自体が目的化、破滅・町人失格に繋がります。「分別」「分相応」が肝要です。隠居」は「遊芸」を「老いの楽しみ」に封じ込めてしまうのが本来の機能でしたが、芭蕉は「旅」という「遊び=?ハレ」に開眼、後に「おくのほそ道」という最高傑作を残すことになります。

 Maruさん(base)も復帰しました。私も来年には理事会を引退、日程だけは土日だけでなく、いつでも練習、もし声がかかればステージに上が上がり、日々のたまった「ケガレ=気枯れ」を落とさなければなりません。

Momo holding sign board-HKX Radio※今までの曲は左サイド、Music Player でお聴きになれます。 

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express01 at 15:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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