ローハイド

October 09, 2017

『Surfin’ USA』 と『平家物語』その1

Surfin' USA record jacket 私がラジオでThe Beach BoysSurfin USAを聴いたのが中学生の時(1963?)。あれから半世紀以上が過ぎた今でも、バンド(私)のレパートリーの一曲になっています。The Beach BoysThe Beatlesをきっかけにいわゆる「洋楽」に入り込んだのですが、 その背景には、時代が「東京オリンピック(1964)」からさらなる高み:「大阪万博(1970)」に向けて好景気は続き、テレビ受像器の普及と共に津々浦々の家庭に「サンセット77」「ローハイド」「ルート66」「ミステリーゾーン」等のアメリカ文化の大波が押し寄せて来ました。 第二の黒船の如きもので、私は中学生になると、それまでの小学校ではなかった、「英語 English」という新科目とThe Beach Boysがほぼ同時に登場したことになります。

 もちろん、歌っている歌詞の意味も判らず、ただ今まで耳にした歌謡曲、民謡、冷戦下のロシア民謡とは全く違う、新しいメロディ・リズムの「洋楽(特にアメリカ音楽)」は、アメリカ映画やテレビ番組のイメージと相まって、私にとってものすごくかっこいいものでした。「好きこそものの上手なれ」の通り、他の科目はダメでしたが…、「英語」だけは好きで、成績も悪くはありませんでした。

  私よりも少し前の時代、「ロカビリー(Rock N’ Roll + Hillbily」が流行し、そのうちの一曲、ジーン・ピットニー(Gene Pitney)の『Louisiana Mama(1961)』、日本では飯田久彦の『ルイジアナ・ママ』がヒットしていました。Verseの最後で繰り返される「My Louisiana mama from New Orleans」が子供心には「マイ・ルィジアナ・ママ フォムノリオリン」、特に「ノリオリン」が強く印象に残っているとは友人の言。これには妙に納得してしまいました。

  

私なりの判断基準ですが、その人の英語能力あるいは、英語を理解しているかどうかを知るには、「音読」、声に出して読み上げてもらえば判ります。単に発音やアクセントだけでなく、どこで文章を切るのか、英語だけではありませんが、「書き言葉」にせよ「話し言葉」にせよ、文章にはリズムがあります。振り返ってみると、英語らしい発音やアクセントの位置、英語らしいリズム…の多くは「洋楽」から学んだように思います。今日、語学の習得方法に音曲(音楽)・歌から入るのは極めて有効な方法とされています。

久しぶりに面白い本に出会いました。井沢元彦著『逆説の日本史 16』です。以下は「識字率」に関する抜粋です。

「江戸文化」の源泉は何か?どれだけ自国語を読み書きできるかを「識字率」と呼ぶが、現在、日本人の「識字率」は99%とほぼ100%と世界一、因みに世界平均:75%(1/4は読み書きできない)、江戸時代における男性40〜60%、女性15〜30%はダントツであったということです。ヨーロッパにおいて、庶民には「本を読む」どころか「文字を読む」習慣がない。グーテンベルグの印刷術の発明が15世紀中頃、16世紀に宗教改革、マルチン・ルター(1483-1546)が聖書のドイツ語訳を出版するが、これが直ちに識字率の向上に繋がった訳ではない。「文盲(差別語)」の人にとって本というものは全く意味を持たない。その前に「教育」が必要だった。

琵琶法師_平家物語日本史の通説では、日本の識字率の向上は江戸時代における「寺子屋教育」の普及が主要因だと考えているが、実は、それ以前の土台作りが存在した。13世紀初(?)の『平家物語』である。通説では作者不明としているが、著者は、吉田兼好の『徒然草』にある通り、『愚管抄』の作者、天台座主慈円(じえん)がプロデュースして、信濃前司藤原行長(物語作 作詞)と生仏(しょうぶつ 作曲 盲目の琵琶法師)に作らせたという。慈円は平家一門、安徳天皇の怨霊を鎮魂するために、二人のスポンサー、プロデューサーとなり、始めから「音曲(音楽)」にして読み書きが出来ない庶民が「文学」を楽しめるようにした。

中世ヨーロッパの農民にとって「読み書き」が出来なくても全く社会生活に支障なかった。マルチン・ルターは多くの賛美歌(キリストを讃える歌)を作り(作詞・作曲)、それまでラテン語で書かれていた聖書をドイツ語に訳した。「音曲(音楽)化」で、「読み書き」出来ない人に「文字を読みたい」という意欲を起こさせたのです。もし慈円自身に作詞・作曲の才能があれば、ルターのように自分で『平家物語』を作ったであろう。

次回に続きます。

※参考:井沢元彦著『逆説の日本史 16

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express01 at 20:47|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

April 26, 2017

最近聞いたこの曲<6> "Islands In The Stream"

 何度も触れましたが、私は「カントリーぽぃロック」が好きです。「ロック」は多くの人に判りやすいのですが、「カントリ−」を説明しろと言われたら、難しいと言わざるを得ません。日本の「カントリー&ウエスタン」は、戦後すぐ(1950年代)、ジミー時田(1936-2003)でピークを迎え、エルビス・プレスリーの「ロカビリー」出現に小坂一也(1935-1997)が追随、以来現在に至るまで、日本の「カントリー&ウエスタン」は進化を停止したままといってもよいでしょう。

 この「カントリー&ウエスタン」の「ウエスタン」がくせ者で、この「ウエスタン」は日本語で言うならば「西部劇」、私が子供の時に見たTVシリーズ:『ボナンザ』、『ララミー牧場』の類いをも含めたため大いに混乱したものと考えられます。アメリカ人でさえ大きな混乱があるようで、映画『ブルース・ブラザーズ The Blues Brothres』(2008)の中にこんなシーンがあります。週末、白人の集う田舎の「カントリー・ミュージック」専門の居酒屋で、名前の通りブルースを専門とするバンド:ブルース・ブラザーズがステージでブルースを演奏しますが全くのブーイング、そこで急遽『ローハイド』に変更、あなたも知っている〜ローレン、ローレン、ローレン〜です。やんやの喝采で無事ステージを終えるという筋書きです。ブルース・ミュージシャンにとって、あるいは映画の中の聴衆にとっては、「カントリー」も「ウエスタン(西部劇、日本で言えば時代劇)」も一緒なのでしょう。
 結論として、カントリ−歌手が歌う歌が「カントリー」である、としか言いようがないのではないでしょうか。

 もう一つの映画、『ボディー・ガード The Bodyguard』(1992)がありました。H・ヒューストンが歌う『オールウェイズ・ラヴ・ユー I Will Always Love You』は大ヒットしましたが、この曲は作詞・作曲共にカントリー歌手のドリー・パートンの曲、劇中に於いてジューク・ボックスから流れる『オールウェイズ・ラヴ・ユー I Will Always Love You』を聞いているケビン・コスナーに、「かなしい曲ね」とH・ヒューストンが語りかけます。「カントリー」のこの曲をR&Bのホイットニーが歌うと、少なくとも「カントリー」ではなくなくなってしまいました。

KENNY ROGERS & DOLLY PARTON この1年間、音楽と言えば、インターネット・ストリームラジオで今時のカントリー・ミュージックを聴いているのですが、新しく知ることばかりです。今まで耳にはしていたはずなのですが、この曲:『Islands In The Stream』は、1983年、「カントリー」の大御所:ケニー・ロジャースとドリー・パートンのデュエットで大ヒットしたとは知りませんでした。メロディ・リズムを聴いた限りではR&Bと言うか、ディスコ・ミュージックです。それもそのはず、このE.ヘミングウェイの同名の小説からヒントを得たというこの曲:『Island In A Stream』はあのビージーズの3兄弟がマービン・ゲイの為に書いたのだが、二人のレコードとなり、彼等もバックミュージシャンとして参加しているそうです。この曲、どう聞いても、いや、どう見ても「カントリー」ではなく、ディスコ・ミュージックです。しかし、やはり彼等はカントリー歌手、1985年の最も<<好きなカントリー>>部門の第一位、それから20年後、<<時代を超えたカントリー・デュエット>>部門の第一位に選ばれています。
 ビージーズと言えば、フォークぽい『マサチューセッツ』(1967)に始まり、J・トラボルタの『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)で絶頂期を迎えたところで、私の音楽からは彼等の消息は途絶えてしまいました。ところが、どっこい、ディスコ・ブームが陰りを見せると、私の知らない間に…、R&Bのマービン・ゲイから今度は「カントリ−」へ180度転換、彼等にはその時代時代を作りだす、表現する特別な才能があるようです。
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express01 at 11:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
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映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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