ハイウエイ
July 05, 2008
Highway 61, I have not visited yet.



アメリカの国道システム(Interstate Highway System)では国道番号が東西が偶数、南北が奇数となっていますが、その原則の通り、ルート66がアメリカ大陸を東西に繋ぐ「母なる道路 Mother Road」、ハイウエイ61が南北を繋ぐ「ブルースハイウエイ Blues Highway」と呼ばれています。
ヨーロッパからの移民に始まる白人はフロンティア(辺境)を求めて東から西へ向かうという方向性があります。スタインベックの「怒りの葡萄」では大恐慌・大干ばつに襲われたオクラホマの農民がその耕作地を棄て、豊かなカリフォルニアを目指してルート66を西に向かう家族の姿が描かれています。(ご参照下さい。→「オクラホマ・ミキサー」) 住み馴れた地を棄て、芳醇な果実に満ちあふれた西(West)を目指して移動するという、西(West)への執着がアメリカ人及び文化の一つの特徴と言えるでしょう。そこには、苦難を乗り越え最後には芳醇な果実をもぎ取ることができるという明るさ、楽観主義があります。

西に向うルート66は我々の多くがイメージする明るい、希望の、軽いアメリカ。一方、北へ向かったハイウエイ61は陰湿で、絶望的、重苦しく映ります。しかし、アメリカ文化そのもの、ブルース、ゴスペル、R&B、ジャズ、ロックンロール、全てはここから始まります。
ボブ・ディランはエルビス・プレスリーを聞いて育ちますが、後年メンフィスにあるサン・スタジオ(SUN STUDIO)を訪れ、スタジオの床に口づけをしたそうです。 1954年エルビスがブルースシンガー:アーサー・クルーダップ (Arthur Crudup)の曲:「ザッツ・オールライト(That's All Right)」を録音という歴史的な場所への敬意を込めて…。