May 11, 2011

ベニスの商人 The Merchant Of Venice

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昔、読んだはずなのですが覚えていません。ということで先日、映画:『ベニスの商人 The Merchant Of Venice』のDVDを観ました。タイトルからすると主人公はジェレミー・アイアンズ演ずるキリスト教徒ベネチア貿易商:アントニオなのですが、アル・パチーノ演ずるユダヤ人守銭奴:シャイロックの存在が圧巻で、まるで実際の主人公のようです。戯曲:『ベニスの商人』は、エリザベス1世(在位1558-1603)の時代、ウイリアム・シェイクスピアによって1594年頃に書かれました。



彼の時代は、スペイン無敵艦隊を撃破(1588)して急速にその国力を伸ばしたエリザベス1世の治世に重なります。既に大陸よりもたらされていた印刷技術は、プロテスタンティズム運動を推進させただけではなく、国民の教養を大いに高める事となります。このような中でシェイクスピアは37にも及ぶ戯曲を書き、それらは英語圏のみならず西洋文学全体の中でも最も優れたものであると評価されているが、中で最も人気があるのが『ベニスの商人』です。

シェイクスピアは一歩も外国に出たことがなかったのですが、『ベニスの商人』ではイタリアの都市国家ベネチアをその舞台に選びます。本当は当時(16世紀末)の英国で起こっていたユダヤ人差別を元にこの作品を書いたのでしょうが、自分の国の出来事とはしたくなかった為、「昔々あるところに」の替わりに「ベネチア」を当てたのでしょう。英国人には、厳格な商業組織を持つイタリアの自治都市が文化的にもヨーロッパ最先端の街として映っていたとしても不思議ではありません。

12〜13世紀、ベネチアは地中海貿易・十字軍輸送・支援の覇権を巡る争いにが勝利、1204年には、第4回十字軍として、あろうことか、同じキリスト教国であるビザンチン帝国の首都:コンスタンチノ−プルを占領、略奪・殺戮を行い、クレタを始めとするエーゲ海の要衝を獲得します。1571年、ベネチアはレパントの海戦に参加、オスマン帝国を大敗させますが、絶頂期はこれよりはるか前のことでした。「今から思えば、あの頃が絶頂期だった」、というのはよくある話です。

1497年、バスコ・ダ・ガマがアフリカ大陸最南端:喜望峰を発見、新しいインド航路が開拓されました。これは、ベネチアが独占していた地中海東方(オリエント)交易体制が崩壊し、交易の舞台が地中海から大西洋に移ったことを意味します。

shylock『ベニスの商人』は4つの物語が並行して進行しますが、見せ場は何と言っても「人肉裁判」。シャイロックは、「善と慈悲」のアントーニオを陥れようと法の厳格な執行を望み、逆に自分が法の執行を受けて破滅してしまいます。詳しくはWikipedia参照 ここが「喜劇的」なところらしいのですが、私にはさっぱりわかりません。

アントーニオのキリスト教的「善と慈悲」のお陰で、本来死刑になるべきシャイロックは刑を免除され、その代わりに、キリスト教に改宗させられます。シャイロックはユダヤ人ゲットーにも帰れず、かといって、キリスト教社会にもは入れない存在となってしまいました。これは「悲劇」でしょう。

エリザベス1世(在位1558-1603)の時代、先行していたポルトガル、スペイン、オランダを次第に駆逐、英国は奴隷貿易で莫大な富を得ます。

奴隷貿易拠点となったのは、ロンドン、ブリストル、リバプール、これらの都市で(1)鉄砲、綿織物等の工業製品を積み、(2)これらを西アフリカに運び、(3)奴隷と交換、(4)交換した奴隷を南・北アメリカに運び、(5)砂糖、コーヒー、綿花と交換、(6)ヨーロッパに運ぶ三角貿易でした。

『ベニスの商人』は英国内で起こっていたユダヤ人差別でしょうが、西アフリカから南・北アメリカへの黒人奴隷の供給は当時の英国へ莫大な富をもたらしましたが、もちろん、シェイクスピアも含めて、英国人は黒人奴隷を差別する対象の「人間」とさえも見ていませんでした。

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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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