April 24, 2007

リンボウ、Limbo

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リンボウ、Limbo。日本人にとって、明るいカリプソのメロディーに乗って踊るリンボーダンスのイメージが強い言葉ですが、実は全く逆の意味のようです。「忘却・無視された状態、刑務所・監獄」を意味し、この<<リンボーダンス>>をとってみても、近世におけるアフリカ黒人奴隷が置かれた状態に起源します。

遡って中世、カトリックのドグマでは「天国と地獄の間にある地獄の辺土。キリスト降誕以前の正しい人・キリスト教に接する機会のなかった善人、洗礼を受けなかった小児や異教徒などが死後に住むという霊魂の世界。」を意味するそうです。

舞台はアラスカの小さな港町、都会から流れ着いた売れない女性フォーク歌手と前夫との間に出来た年頃の娘。その娘も母親の過去に絶望、自らの未来にも何ら希望を持ってはいない。過去の遭難事故を引きずり、妻にも逃げられ、今は町の便利屋で細々と生活する元漁師。やがて、場末の店で歌う子連れ女性歌手と便利屋は恋に落ちます。

観られた方もおられるでしょう。ジョン・セイルズが1999年に製作した「最果ての地(原題:Limbo)」です。mary_elizabeth_mastrantonio売れない歌手役のメアリー・エリザベス・マストラントニオの歌のうまいこと、映画の中で自身「エミルー・ハリスと似ていると言われるの」と言わしめ、その店の常連、人相の悪いブッシュパイロット役のクリス・クリストファーソンが彼女の歌を聴きながらプールに興じているシーンはカントリーミュージックが縁でこの配役が決まったのかなぁ、と思わせます。

この話はともかく、絶望の淵に立つ3人がこの町で身を寄せ合って新しい生活を切り開いていく…のか、と思いきや、ひょんなことから麻薬の運び屋に追われ、3人は冬の近づく無人島でサバイバル生活を始める羽目になります。

昔この島に入植した一家が残したと思われる廃屋での生活は、冬も間近にせまり厳しさを増していきます。vanessa_martinezある日、娘はその廃屋で入植者の娘、彼女と同年齢の子供が残した日記を発見します。たき火を囲んで彼女はその日記を毎夜1ページずつ朗読するのです。日記の内容は、日々生活の苦しさが増していくのを綴っています。彼女は自分以外の人間がこの日記を読むことを拒んでいましたが、ある夜、娘が寝ている間に、母親はその日記を盗み見ることになります。娘の朗読で聞いたページは日記にはなく、日記は何日も前に既に途切れてしまっています。

まさに絶望の淵。ある朝海岸で遠くに飛行機の爆音が聞こえてきます。視界に入った機体は徐々に大きくなり、やがてその水上飛行機は着水、浜辺david_strathairn_kris_kristoffersonまで接近するのを狂喜で迎えます。コックピットから降りたのは店の常連、クリス・クリストファーソン。「燃料不足から3人を搭乗させることも、無線故障で救助要請もできない。もう一度来るからそれまで待っていてくれ」と言い残して飛び立ってしまいます。

再び絶望感が漂う数日が過ぎ、あの爆音が近づき、あの機体が視界に入ってきます。

ここでこの映画は終わります。全くプッツリと終わります。
3人は「地獄の辺土」からの脱出に成功したのでしょうか?…とは愚問でしょうか。

※娘役のヴァネッサ・マルチネスが日記を朗読する、自らの日記を作るシーンが印象に残ります。

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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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