October 04, 2015

October 04, 2015

大久保長安_その

東京都といっても西の端、町田市に住んでいます。明治初期には、神奈川県に入ったり東京都に編入されたり、どっちつかずの、早い話が、どうでもよい地区だったのでしょう。南に横浜市、西に相模原市という2つの政令指定都市に、北には武蔵野国多摩郡の面影を色濃く残す八王子市に隣接しています。横浜、相模原は幕末・近代以降の町ですが、八王子は、ここを統治していた後北条氏滅亡し、家康の関東移封を契機に大いに発展しました。すぐ北に隣接、関東地方の天気予報では、東京都内と並んで、八王子市の天気が表示されることもあって、近すぎる・身近すぎるのか、古いですが…、かといって、洗練された古さでもなく、あまり興味の持てる街ではありませんでした。

 そんな八王子を、ウォーキングが趣味のIkeさんを誘って歩きました。JR八王子駅の北側を甲州街道に平行して歩きます。 そこで見つけたのがこの、イメージ通りの八王子の風景です。
八王子街中の風景_2

産千代稲荷 元へ。20分ぐらい歩くと産千代(うぶちよ)稲荷神社に至ります。
 1590年、後北条氏が滅亡、関東に入封した家康の命を受け、大久保長安(ながやす)は江戸城を守る重要拠点として八王子に陣屋を設けて、関東十八代官の代官頭として関東全体の統治を行いますが、その際に創建されたのが「産千代(うぶちよ)稲荷」です。実は大久保長安という人間を知りませんでした。八王子、甲州街道そして千人同心を作った人…、それ以上の興味を持つこともなかったのですが、彼の出自、もう一つの側面を知って興味が沸き、今回の八王子行きに繋がりました。

大久保長安_1 長安は、大蔵流猿楽師の子として大和国(奈良)に生まれ(1545)、祖父は春日大社で奉仕する金春流の猿楽師で、父の信安の時代に大和国から播磨国に流れて大蔵流を創始した。「能・猿楽」は観阿弥・世阿弥父子により南北朝時代から室町時代にかけて大成されますが、戦国時代になると将軍家や寺社の勢力が低下、座は分裂、各流派は勃興する各地の武将を頼って地方へ流れて行くことになります。観世流は駿河へ落ちたために、 今川義元の人質だった家康が観世流に親しむことになり、 江戸開幕以降も観世流が筆頭の地位が与えられることになります。同じように、大蔵流の父兄とともに甲斐国に落ち、武田信玄に父は猿楽衆、長安と兄は同見習いとして仕えました。武田家滅亡(1582)の後、長安は家康家臣となり、大久保忠隣(1553-1628)の与力に任じられるが、この際に名字を賜り、姓を大久保に改めます。驚くべき事に、長安の本当の姓は、観阿弥・世阿弥と同じく「秦(はた)」で、その先祖は秦川勝に繋がるというのです。

 信玄の配下、長安は猿楽衆見習いだけでなく、治水・治山・鉱山・設計・工事を行う蔵前衆となり、黒川・湯の奥金山の経営に参加、戦時には後方支援・兵站を担当した。武田家滅亡の後、家康家臣となり、交通・産業など広範囲に渡り徳川幕府創業期に大きく貢献する。見地を全国的に展開して財政力を高め、東海道・中仙道に里塚・宿駅を設け、甲州街道を新設、紀州新宮から佐渡までの航路を整備し、石見・佐渡・院内・伊豆金山を開発・経営、「アマルガム法」と呼ばれる南蛮精錬法を導入して生産力を飛躍的に拡大した。八王子を領地とし、敗れた今川・武田・後北条の浪人対策・治安維持・西の重要地点守備を目的に開発・整備され、それを担ったのが旧武田家家臣からなる「八王子千人同心」でした。 超人的な活躍です。

 浄土信仰が大流行した平安末期・鎌倉の再来か、戦国時代から江戸時代にかけて人々は明日の命も知れず、浄土真宗は一向宗の門徒集団として政治力を持つようになり、伝来のキリスト教が大名から庶民まで、身分に関係なく浸透、日本は史上最大の宗教の世紀を迎えます。農業中心の世界から商業・工業重視する世界への移行、それに付随して芸能の発展、「非農民」=「芸能人」=「道々の者」の興隆が見逃せません。長安の超人的な才能は猿楽師、いや、その先祖としての秦氏に関係するものでしょうか…、次回はこのあたりを探ってみることにしましょう。

※ 参考資料:川上隆志「江戸の金山奉行 大久保長安の謎 」 村上直「千人のさむらいたち 〜八王子千人同心〜」
Momo holding sign board-HKX Radio※今までの曲は左サイド、Music Player でお聴きになれます。 

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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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