November 21, 2012

November 21, 2012

2012年近江の旅 Episode 4 〜 野洲妓王寺

その時もKENさんと一緒でした。「ほんまに、坂本の穴太衆(あのうしゅう)が作ったんかいな…?」、と思われぐらいに雑な造りの石段をぜいぜいと息を切らして登った安土城天守閣跡。織田信長の当時(1534-1582)は琵琶湖が眼下に迫り、湖上輸送が活発だったのでしょう。それから4百年、今はその面影もなく、水辺は遙か西に移動してしまっています。琵琶湖

「どうして琵琶湖はそう呼ばれるの?」と疑問に思ったことはないでしょうか?地図を見ればその形が楽器の琵琶に似ており、琵琶湖と呼ばれることは極めて当然なように思えますが、一般化したのは江戸中期以降の由で、古代(平安時代以前)においては「淡海(おうみ)」と呼ばれ、古代律令制下の国名:近江(おうみ)につながっています。伊能忠敬の「琵琶湖図(1807)」を待つまでもなく、若狭湾と都を結ぶ航路を行き来する船乗りは南北を移動するに従って水辺・地形の湾曲は想像できたのでは…、あるいは比叡山延暦寺からの眺めで十分だったのかも知れません。正解はこれのようです。→『「琵琶湖」の名前

この地は、多くの渡来人が入植し、北陸・東山・東海の三道が合流し、湖上輸送で若狭湾と都を結ぶ交通の要衝、特に東岸は、稲作の発展に伴い耕地面積を増やすために地道な干拓工事が行われたのではないでしょうか。古代の「淡海(おうみ)」は徐々に形を変え、ある時期から明らかに琵琶の形になった…。これは仮説…、というよりも、単なる思いつきに過ぎません。

平清盛は(機内)摂津国福原に大輪田泊を修築(1162)、音戸ノ瀬戸を開削(1167)などの大規模な土木工事を成功させていますが、ここ近江国では灌漑用水を開いています。「妓王井川」は野洲川を水源とする三里、12kmの灌漑用水路で、十か村もの田畑を潤し、現在も大事に守られ、感謝されています。妓王(ぎおう)は母の刀自(とじ)、妹の妓女(ぎにょ)とともに、京都で有名な白拍子となり、清盛に寵愛されました。妓王は故郷の村人が水不足に苦しんでいるのを思い、清盛に願い出て、開かれた用水路がこの「妓王井川」でした(1173)。

それから3年後、年若い白拍子:仏御前が現れますが、清盛は彼女を門前払いにしますが、妓王はそれをとりなしで、清盛の前で舞を舞うことになります。その舞を見た清盛はすっかり仏御前に夢中になり、清盛の心は妓王から離れ、母妹ともども屋敷を追い出されてしまいます。嵯峨野の奧に庵を結んで仏門に入りますが、清盛は妓王を仏御前の慰み相手に選び、あろうことか、妓王に用意されたのが下座であったのは屈辱でした。妓王の憂き目に自分の行く末を重ね合わせた仏御前は、妓王の後を追って仏門に入ります。時に、祇王21才、祇女19才、刀自45才、仏御前17才でした。

古くは、巫女として神に仕え歌踊を行っていたのが、後に諸国を放浪、宿・港など人の集まる場所で歌踊を行いながら、売春も行う遊女が原型でした。交通の要地で活動しているため、自ずと芸能の伝承・伝搬に重要な役割を果たします。彼女らは後に都市部に定住、院政時代以降に白拍子が流行して、貴族の屋敷に出入りするようになります。妓王親子は近江国野洲、仏御前は加賀国、義経の愛妾:静御前は讃岐国出身の「白拍子」であり、後白河法皇の今様の師匠:乙前、平治の乱に敗れた源義朝が頼った妾:延寿、いずれも美濃国青墓宿出身の「傀儡女(くぐつめ)」と呼ばれる遊女でした。ともに「今様」を得意としますが、「傀儡女」とは違って、「白拍子」は踊ることも出来ました。

訪れたのは妓王寺_1妓王・妓女・刀自が生まれ育った近江国野洲「妓王寺」、すでに稲の刈り取りが終わった田園地帯が遠くまで小雨にかすんでいました。機会があれば妓王親娘の墓所の在る嵯峨野「祇王寺」を訪れてみましょう。仏御前も一緒でしょうか…。

琵琶湖の形に始まり、何の脈絡もなく、白拍子・傀儡女で終わりました。


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express01 at 20:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック History_Japan | Travel
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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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