June 10, 2007

June 10, 2007

「アラビアのロレンス」

アメリカの非営利団体、NPR (National Public Radio) は2005年10月20日付で興味深い報道をしています。→ 追記覧にその原文を掲載
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lawrence_maT.E.ロレンス、 中東のビジョン

イラクに駐留するアメリカ軍関係者の間で最も読まれている本の一つが『知恵の七柱(原題:Seven Pillars of Wisdom)』、第一次大戦中、アラブ諸部族の独立を率いた大英帝国陸軍大佐:トマス・エドワード・ロレンス(T. E. Lawrence)の著作、中東地域における戦争及びそこに住む民族の特殊性を著したもの。

Thomas_Edward_Lawrence1918年、ロレンスが作成、イギリス政府に提案された中東地域地図は長らくその所在が不明であったが、今、大英帝国戦争博物館にて展示されることになった。当時優勢であったヨーロッパ列強による植民地政策に依るのではなく、アラブ人の感情・情緒に則した国境策定を進言したものです。歴史家にとって、ロレンスの地図は「歴史のIF、もし〜だったら…」の格好のテーマ、現に今日のイラク・クルド人の要求によく似たクルド人国家の分離を提案しています。ロレンスは、今日のシリア、ヨルダン、サウジアラビアの一部及びその他地域をその種族及び交易ルートに依って分類しています。

その地図はパレスチナと呼ばれる分離国家をも予測しています。ロレンスはイギリスがユダヤ人国家建設(「エクソダス」をご参照下さい)を考えていることを知っていたのです。

そして、彼はイラクにおけるスンニ派とシーア派を分離する理由はないと考えていました。これは今日もなお、同国が引きずっている大きな問題です。
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アラビアのロレンスポスター私はこの本:『知恵の七柱』を読んでいません。ただ彼の名前:T.E.ロレンス、それもデビッド・リーン、1962年監督の映画:「アラビアのロレンス」として知っているだけです。※松岡正剛氏のサイト:「千夜千冊 遊蕩編」にロレンスに関する説明、『知恵の七柱』の書評があります。

当時インドは植民地として大英帝国の宝。ジブラルタル→マルタ→キプロス→スエズインドに至るルートは帝国の生命線。一方では、石炭から石油燃料への転換・需要拡大時期に入りその資源の確保。その2つ目的のためには手段を選ばない軍事・外交政策がとられます。衰退を続けるオスマン・トルコ、これをイギリス、フランス、そしてロシアがその領土を侵食していきます。オスマン・トルコはドイツと同盟を組み、それと対抗しようとします。

そのオスマン・トルコの支配を破ろうとアラブ諸民族独立の機運が高まります。ここで登場するのが大英帝国陸軍大佐:T.E.ロレンスです。アラビア語を操る考古学者は、大戦勃発とともに参謀本部情報将校としてカイロの陸軍情報部に配属されます。彼はファイサルに出会い、この「運命的な出会い」は大英帝国陸軍大佐をアラブ独立主義者に変え、その後、二人は協力してトルコ軍に対するゲリラ戦の指揮をとることになります。1917年二人はラクダ部隊を率い、モーゼの「脱エジプト」以来誰もなし得なかったネフド砂漠を越え、トルコ軍の守る、要衝アカバ港を背後から急襲、これを壊滅させます。この快挙は彼を中東、いや世界の英雄:「アラビアのロレンス」に押し上げることになります。しかし、本国の二枚舌・三枚舌外交(エクソダス(Exodus)でも触れました)に幻滅、この地を失意のうちに去ることになります。彼の「砂漠の反乱」は単にトルコに対する蜂起だけではなく、母国、大英帝国への反乱でもありました。

大戦後、イギリスは単独で中東全地域を手中にし、大英帝国は歴史上最大の版図を収めます。…が、しかし、中東のさらなる混乱はこれを機に始まったといえます。同時に大英帝国衰退の始まりでした。アラブ諸民族の特性を無視したイギリスの統治、国境の策定はその能力・実効性を失います。新たに登場した新興大国:アメリカがイギリスに代わって中東の地域紛争に介入するに至ります。

歴史上、オスマン・トルコを除いてエルサレムとバグダッドを統治した帝国が長続きしたことはないそうです。イラクに軍を送るアメリカは「アラビアのロレンス」から何を学ぶのでしょうか。

本業にもお越し下さい。
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ISAO

映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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