October 09, 2019

ボスポラス地峡決壊そして「ノアの箱舟」

 町田市主催の学習支援教室にアルバイトとして参加して1年が過ぎました。小学生高学年及び中学生を対象に主に英・数・国を教えるもので、先生役は将来教職を目指す近隣の大学生です。教室の目的は、小学生に関しては第一に「居場所」、中学生になると「学力向上」、これが中学3年生、中間テストも終わると「受験勉強」になります。我々高齢者の仕事は、主に教室の設営、バス停、迎えに来た父兄の車までの付き添いなど教室開始前・終了後の一時に集中しています。大学生が忙しくて、先生役が不足した場合に、私は中学生の「英語」に限り代行教員を務めています。しかし、そうではない場合、授業中は教室の様子を見ているだけで、ほとんどやるべきことはありません。

 そんな授業中に、自分の好きな小説・歴史関連の本を読むわけには行きません。そこで読みだしたのが「英語」に関連する本です。これなら、英語を教えるために勉強をしている、という言い訳が立ちます。

 こと中学生の「英語」に限って言うならば、学校のように同じレベルの生徒を前提に、同じテキストを使うならともかく、わざわざこの支援教室に来ているのであれば、その生徒のレベルに合わせたマンツーマンの指導をすべきです。支援教室で英単語(あるいは漢字)を覚えるというのは、先生役としては楽ですが、あるいは心地よい「居場所」、勉強した気になる時間が必要な生徒もいるかも知れませんが…、本来、丸暗記は一人でやるものです。先生は覚えるコツを教えてあげれば良いのです。先生の役割は、自分の中学生時代を振り返ると…、如何に英語に興味を持たせるか…、に尽きます。

 昔、私が高校1年生の時?、『赤尾の豆単』というのがあり、やみくもに「A」から順番に覚えようとしたことがありました。その最初に「abandon」という単語が出てきました。【他動】諦める、放棄する、捨てる、【名】自暴自棄の意味ですが、その後の人生で「abandon」の単語に出くわしたのは1回か2回、「(沈む)船から離れる、船を放棄する」という意味でした。今でも思い出すのですが、クラスメートの稲田君は自分の名前に近い音の響きの「inadequate」を手始めに覚えましたが、その意味「【形】不十分な、不適切な、無力な」は気に入らなかったようです。「赤尾の豆単」は使い物にならず、人気は『試験にでる英単語』に移った記憶があります。

  丸暗記のコツは単語を声を出して読み(音読、音声を発し、それを聞きながら…)、それを書き、できるだけ長い句あるいは節として繰り返すことに尽きます。英単語の丸暗記はただそれだけ、先生は要りません。別に英語学を勉強した訳ではなく、単に英語を使ってきた経験から、英単語には一定の規則みたいなものがあることがわかります。ということで、昨年読んだのが『英単語の語源図鑑』、その年のベストセラーです。英単語を<<方向・位置・時間関係、協調・否定を表す[接頭辞]>>+<<意味の中核を成す[語根]>>+<<機能や意味を付加する[接尾辞]>>、の3っに分解するものです。

 「abandon」は<<「a」古フランス語(ラテン語の「to、at」から)>>+<<「bandon」(=control 古フランス語)>>、本来「制御下に置く」、後に「制御に屈し、降伏する」、同じく「inadequate」は<<「in」ラテン語「〜でない・否定」の意味>>+<<「ad」(ラテン語の「to」から)>>+<<「aequus」(=equalラテン語)>>、「〜でない」+「十分な、適切な」、「不十分な、不適切な」という意味になった、と云うことになります。しかし、いずれの英単語も使用頻度は減少傾向で、当時も、差し迫って覚える必要はなかったようです。

 今読んでいるのが山並陞一著『語源でわかった!英単語記憶術』。驚くのは、著者山並氏は工学博士。英語教育関係者でもなく、かといって工学(エンジニア)の英語でもなく、即物的・受験勉強的な『英単語の語源図鑑』をより語源をラテン語、ギリシャ語に遡って解き明かす、より普遍的な読み物に思われ、世界の地理・歴史も踏まえ興味深く読んでいます。

 英語はインド・ヨーロッパ(印欧)語族の一つであることは誰でも知ってますが、彼らが何者で何処からやって来たのかは多くの人は知りません。因みに、日本語は[ウラル・アルタイ語族(モンゴル人、満州人、トルコ人)]で中国語は[シナ・チベット語族(チベット人、ミャンマー人)]。

black & caspian sea ユーラシア大陸は現在のトルコに位置するボスポラス海峡(及びダーダネルス海峡)を境に、西をヨーロッパそして東をアジアと呼ばれています。地名Bosphorus(ボスポラス)はギリシャ語。Bosは雄牛で、Beefの原音は同じ、phorusは英語のport, ford, と同じくpor(通す)が語源。よって、Bosphorus(ボスポラス)は「牛を通す場所」の意味で、黒海南岸を東西に行き来する横に細長い地形だったのではないかと云います。

 ここからが面白いのですが、黒海はかつては淡水湖で、徐々海水面が上昇、BC7500年前(一説にはBC5600年前)ボスポラスが決壊して、地中海の海水が流れ込んで現在の黒海が出来上がった(「黒海洪水説(Black Sea deluge」)。それまでは淡水湖であったことに意味があり、その淡水湖の周りには多くの野生動物が生息、その野生動物を追って狩猟牧畜民族がいくつもの集落を作った。部族間の争いが絶えず、きわめて人間臭い土地だったので、言語の発達がなされました。インド・ヨーロッパ語の発祥はこの黒海(及びカスピ海)北部の東西に広がる一帯(現在のウクライナとロシア南部)と考える言語学者は多いと云います。※ボスポラス決壊(「黒海洪水説」)は旧約聖書「ノアの箱舟」伝説にもつながるが、ここでは割愛します。

 英語は、語形が似ているラテン語やギリシャ語を語源として解説するのが手っ取り早いが、それらの祖語であるインド・ヨーロッパ(印欧)語を語源に英語を眺め直してみると、さらに広い範囲の言葉を整然と理解することができると云います。
 
 インド・ヨーロッパ(印欧)語は大型の野生動物を求めて生活した狩猟牧畜民族が使い始めた言語で、家畜に関する言葉が多いのは当然です。例えば、子牛はラテン語でvitellus(ウィテルス)、英語のveal(子牛肉)の語源と同じ、その複数形vitellia(ウィテリア)の語頭viを短くiと発音するようになり、vitelliaがItalia(イタリア)になった由。

 インド・ヨーロッパ(印欧)語族は、BC2000年頃から寒冷化を割けて大移動、西を目指した多数派は中東からヨーロッパへ、南を目指した少数派はインドへ侵入します。中東地域に侵入した彼らはイラン、小アジアに定住、長い年月をかけてアラブ化されて行きます。インド・ヨーロッパ(印欧)語族は「アーリア人(Aryan)」とも呼ばれ「高貴な」という意味であり、ペルシャ語(イラン語)で「ariia」、サンスクリット語で「arya」と表記されます。「イラン」とはアーリア人が作った「アーリアの国」、「高貴なる者の国」なのです。ヨーロッパ方面に侵入した彼らは地中海沿岸を中心に定住、ヨーロッパ世界を形成します。一方、南下してインドに入った彼らは、長い年月の間にアジア系民俗と混血し、暑い気候により肌が黒くなり、インド人になっていきます。これが後の「カースト制」にもつながります。

 英国人の東洋学者(言語学者)ウィリアム・ジョーンズ(1746-1794)はカルカッタで古代インドのサンスクリット語を研究、サンスクリット語がヨーロッパの諸言語と類似していることを発見したのが始まりでした。人類学の分野では、インド・ヨーロッパ(印欧)語族という共通の祖語族から派生した民族の分類が一般化して行きます。

 英単語の覚え方から始まり、英単語の語源、英語の祖語(母語)であるインド・ヨーロッパ(印欧)語族の発祥、大移動と支配、それに関わるボスポラス海峡決壊、黒海洪水説と旧約聖書にある「ノアの箱舟」まで出てきました。ここまで来ると、英単語を覚えることとはあまりにもかけ離れてしまいます。

 英語の語彙を勉強して、これが他の学問分野への興味につながれば、これもまた嬉しいことではないでしょうか。

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express01 at 22:48|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote English | History_World

September 24, 2019

気のせいではなく、歳のせい

 「バブル崩壊(1991 ?)」という日本第二の敗戦、続く東日本大震災、東電福島第一原発事故(2011/03/11)はそのダメ押しでした。それは同時に、私個人にとっても、自分には商売のセンスがあるものと認識していたものが単なる虚構であったことを薄々知りながらも、未練たらしく持ち続けた私への痛烈な一撃でした。

  テニス、飲み会、趣味の話等、何かの目的を持って複数の人が集まったりした場合、これらの例の通り比較的親しい人達との付き合いなので気にならないのですが…、もう少し疎遠な関係な人たちの場合、私はなぜか会話が途切れるのが嫌いで、それを避けるように話題を作って行く癖みたなものを身につけるようになりました。特に、歳をとった最近特に顕著になったように感じます。周りの様子を見て…、相手の出方を見て…、出逢いを待って…、そんな悠長なことを云ってたら、あっという間に寿命に達してしまうでしょう。自分の出来ること、出来ないこと、興味のあること、ないこと…、できるだけ早く相手に知ってもらうことが、残された時間に限りが見えてきた、この歳の私には大事なことのように思えます。

 今年の春、パソコンを買いましたが、自分の残された健康寿命とそのパソコンの寿命を比べてどちらが早いのだろうか…、そんなことを今まで考えたことがありませんでした。それを考える年齢に達したということなのでしょう。夏が終わり、どこかに秋を感じるようになると、大げさに云うと、あと何回夏を迎えることができるだろうか…、逆に言えば、今年の夏も何とか乗り越えた、単なる高齢者の独り言になってしまいます。「人生百年時代」と輝かしい未来が開かれているように錯覚させるキャッチフレーズですが、如何に寿命が延びたとしても、その為には心身ともに健康で尚かつ文化的な生活を送ることが出来る最低の収入が保障されなければなりません。そんな社会が来るはずもなく、少なくとも今、私の年齢考からすれば、少なくとも今まで生きてきた年数に比べれば、今から死に至る年数は短いはず、ましてや、自分が心身ともに健康に過ごせる期間(健康寿命)はさらに短くなります。

Youtube_2008.01.21_5 自業自得と云えばそれまでなのですが、会社人生を途中で辞めた為、本来もらえたかも知れない年金も少なく、既に独立していた子供たちにはともかく、かみさんには申し訳ないことをしました。自分の小遣いぐらいは…と、アルバイトを続けています。

 2007年6月頃(?)、友人のNobuさんと二人で始めたデュオYoutube_2008.01.21_4は、その後ドラムのKunさん、そして最後にベースのMaruさんが加わり現在のThe K.A.Y.A Bandに続いているのです。そのNobuさんと二人で始めたデュオの頃の録音がYoutubeに残っています。演奏の録音だけでなく、画面を見るとその頃には曲りなりに絵を描いていたようです。

    2014年、団地管理組合理事の順番が廻って来ました。今まで現役の間は、隣近所の人も知らず、いわんや自分の住んでいる棟以外は知るはずもありませんでした。元来、私には指導者(リーダー)として資質はないことは自分でもよく判っていましたし、理事長が決まると、私は副理事長の座を自ら手を挙げて志願しました。今まで人任せにして、団地内の人とは全く疎遠で、今までの不参加・不義理を償うつもりで手を挙げたのでした。主な業務は、理事長の補佐並・理事会議事録の作成そして組合員(住民)向け会報誌の発行でした。理事会からのお知らせだけでは誌面を埋めることが出来ず、苦肉の策として、私の描いた絵と同じく私の書いたコラム:『小山田荘を歩く』で何とか誌面を埋めたところ、意外にも好評で、後に喫茶店「嵐が丘」での絵画展開催に繋がることになります。

 ひょんなことで同じ団地の住民と知り合いになり、その彼から団地内コートのテニスに誘われ、仲間に入りました。今や、誘ってくれた彼は既に引退、私も中堅の一人、全員が現役を離れ、悠々と月・木曜日にプレイするようになっています。そのテニスで、出会った人がいます。人生の大先輩、私が若い時に憧れたグラフィックをプロとしてやって来た彼は、絵画だけでなく歴史・文学にも造詣が深く、当地小山田の荘出身の国学者、小山田与清(おやまだともきよ 1783-1847)や俳人、五十嵐梅夫(いがらしうめお)・浜藻(はまも 1772-1848)父子の研究者として活躍されています。彼の蔵書には本当にお世話になりました。もし私の絵にそれなりの評価を頂けるとすれば、彼との出会い、そして彼のプロとしてのアドバイスがあったからです。彼に出会っていなければ、「嵐が丘」での絵画展には臨まなかったはかも知れません。 
 
 この一年を振り返って、この人は「面白そうだから、しばらく付き合ってみようか」と云う人が何人現れたでしょうか?二人現れて、一人と付き合が続けば御の字でしょう。商売の才能はとっくの昔に見切りをつけてしまった私、商売以外、趣味・遊びの世界で自分の存在価値を見つけるべく、もちろん相手の興味・趣味・嗜好には敬意を表しながらも、初対面の相手にも、この人と思われる人には自分の得手不得手・興味の有無を明らかにしようとします。もうそれほど時間は残されていません。

 残念ながら、最近、歳のせいか日本人の美徳とする奥ゆかしさに欠けるようです。

190912_私の居場所

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express01 at 13:40|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote Recent Event 
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映画・音楽・歴史、そして、自己流ながら、水彩画を描いています。思いついたことを、気の向いたままに、イサオなりに、深く掘り下げていきます。 ※お気づきの点、改善すべき点をどうぞお聞かせ下さい。

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